嫁です。若冲の作品を見て日本画に興味を持った方、多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人・・・
相国寺承天閣美術館は名前のとおり、『お寺』の美術館です。京都、相国寺の境内にある美術館には、国宝5点、重要文化財145点の作品が収蔵されています。
伊藤若冲、円山応挙、長谷川等伯・・・日本画の巨匠たちの作品だけでなく、千利休ゆかりの茶道具にも出会えます。
伊藤若冲ゆかりの寺院
伊藤若冲ゆかりの寺院でもあり、若冲ファンにはたまらない作品がずらり。
江戸中期、青物問屋の長男として京都に生まれた若冲は、40歳で家督を弟にゆずり、本格的に絵師としての道を歩み出します。そして、相国寺・住持大典和尚のもとで仏教や書、絵などの指導を受けたとも伝わります。こうした交遊関係から、相国寺に「動植綵絵」30幅と「釈迦三尊像」3幅対を寄進し、鹿苑寺(金閣寺)の大書院の障壁画を手掛けました。
承天閣美術館では、鹿苑寺の大書院の一之間、および三之間の障壁画が常設展示されています。水墨画で描き込まれた若冲の瑞々しい世界を堪能できます。
住所・営業時間
京都府京都市上京区今出川通烏丸東入
10:00~17:00(入館は16:30まで)
アクセス
地下鉄烏丸線「今出川駅」下車、徒歩約10分
京都市バス「烏丸今出川」「同志社前」
拝観料
一般 800円
65歳以上・大学生 600円
中・高校生 300円
小学生 200円
館内案内
こちらのお寺の門から中に入っていきます。
美術館へと続く石畳の道です。
お庭も美しく、思わずシャッターを切りたくなります。
美術館の内部は、靴を脱いでスリッパもなく裸足で歩かなければならないので、靴下やフットカバーを持参してくださいね。
伊藤若冲展
私の訪問の目的は「伊藤若冲展」でした。
2016年に東京都美術館で開催された『生誕300年記念 若冲展』。4時間待ちとも言われた大人気の企画展です。私自身は日程の都合がつかず、本物を見る機会を逃して悔やんでいたころ、京都・相国寺でのこちらの展覧会の開催を知りました。動植綵絵30幅のレプリカを間近で鑑賞できる貴重な機会に心が走りました。
展示室に入ると360度、「動植綵絵」「釈迦三尊像」が並び、レプリカとはいえど鳥肌が立つのを感じました。コロタイプ印刷による複製画は、私の目には本物と見紛うほどの十分な美しさでした。
コロタイプ印刷ってなーに?
コロタイプ印刷は、写真技術が生まれて間もない約150年前、フランスで発明された技術です。当時の写真は画像の保存性が低く、次第に退色してしまうのが当たり前。それを改善するために確立されたプリント技法のひとつがコロタイプ印刷です。
なめらかな濃淡表現で深みのある質感を実現し、特殊コロタイプインクを使うことによる強い耐久性が特徴で、国宝などの文化財の複製制作に活用されています。微妙な色彩変化や筆力の忠実な表現を見事に再現しています。
動植綵絵
伊藤若冲の「動植綵絵」は緻密な描写と極彩色で描き上げられ、若冲自身の最高傑作とも名高い作品です。動植物のいきいきとした一瞬を切り取り、虫眼鏡で観察したかのような美しさが細部に宿ります。
この作品は草木や国土のように心を持たないものも、みな仏性を持ち成仏するとした生けるものに対する慈しみの心で若冲が描いたものとも言われています。
余白を大切にする日本画の概念を覆されるほど、隙間なく鮮やかな世界がぎっしり。もう技術の大渋滞です。何度ため息をついたことか・・・
1枚1枚、絵の目の前でじっくり鑑賞できたのは、レプリカ展のおかげですね。本物は大混雑で止まって観ることなどできないでしょうから。よかったよかった。
本物は宮内庁三の丸尚蔵館収蔵の皇室御物。
なかなかお目にかかる機会は少なそうです・・・
京都の仏閣の雰囲気を味わいながら日本の美に触れる・・・すてきな穴場美術館でした。