嫁です。身近な水がここではアートの構成員。日常を忘れたいあなた・・・必見です。
瀬戸内国際芸術祭
2010年に始まった『瀬戸内国際芸術祭』。瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代美術の祭典です。3年ごとに新たなアートパヴィリオンが産まれ、進化をとげていますが、もちろんそれぞれの美術館は通年鑑賞することができます。
今回は『瀬戸芸』が始まった2010年にOPENした豊島美術館を訪れました。
豊島
香川県と岡山県のおよそまんなか辺りの瀬戸内海。面積14.5㎢、人口約800人の島、「豊かな島」と書いて豊島(てしま)。古くから水に恵まれ、農業や漁業、酪農も行われ、島の地形や自然環境を活かして、自然と共栄してきた地です。
1970年代以降は、産業廃棄物の不法投棄が問題となり、暗いイメージもつきました。
しかし、現在は廃棄物の処理も進み、島の人々の努力で美しい自然が取り戻されています。
訪問のきっかけ
アート好きな方なら雑誌の表紙や特集などで、一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。
ぽっかり穴の空いた天井から見える真っ青な世界。その色彩とは反対に陰影を伴う簡素な世界。明らかに作られた異質な空間ですが、何か惹きつけられます。
かくいう私もその一人、雑誌で見て一目惚れ、いつか訪れたい美術館の一つでした。
ベネッセアートサイト直島
今回訪れた豊島美術館を含め、直島の地中美術館やベネッセハウスミュージアム、犬島の犬島精錬所美術館をはじめとする、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人福武財団が展開するアート活動の総称が『ベネッセアートサイト直島』です。
豊島美術館
瀬戸内海を望む豊島唐櫃(からと)の小高い丘に建設されたアーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛による「豊島美術館」。休耕田となっていた棚田を地元住民とともに再生させ、その広大な敷地の一角に、水滴のような形をした建物が据えられました。広さ40×60m、最高高さ4.5mの空間に柱が1本もないコンクリート・シェル構造で、天井にある2箇所の開口部から、周囲の風、音、光を内部に直接取り込み、自然と建物が呼応する有機的な空間です。内部空間では、一日を通して「泉」が誕生します。その風景は、季節の移り変わりや時間の流れとともに、無限の表情を伝えます
ベネッセアートサイト直島 公式ホームページ
一般的な美術館といえば、絵画や彫刻、宝石を所蔵し、展示しているものですが、豊島美術館には一切そういったものはありません。あるのは水だけ。
建築
前述のとおり、建築は十和田市現代美術館、軽井沢千住博美術館なども手掛けた西沢立衛さんです。建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞も受賞されています。
美術館の外枠はコンクリートでできていますが、こんなに大きい塊見たことない。そう思わせる理由の一つは建物に継ぎ目が見当たらないこと、ではないでしょうか。
工事にあたっては、美術館大の盛土をつくり、それを型枠にして鉄筋コンクリートを流し込む前代未聞の工法が用いられたそうです。建築の段階で既にアートです。
実際に目にすると、広大な自然の中にぬめっと巨大な生物が這っている、そんな感覚を覚えました。
内装
アーティストの内藤礼さんが手がけています。泉をモチーフとした「母型」なるアートワークを楽しむことができます。
美術館の歩き方
歩くことが苦でない私は歩いて向かいました。歩いている人はほとんどいませんでしたが(笑)レンタルサイクリングの人が多かったかな。それが正解でしょう。
上の写真右側にあるのがチケット売り場となっています。トイレやコインロッカーもこちらにありました。
鑑賞料金 1570円
そして、もうなんか見えてますね。白い巨大生物が。
美術館は進行方向が決まっており、写真左の小径を進み、時計回りに巡ります。
すぐには辿り着けない・・・じらされてじらされて、どきどきします。
美術館自体が小高い丘の上に建てられているので、小径の途中から豊島の自然や瀬戸内海の絶景を一望できます。
そして見えてきた美術館の入り口・・・
なんと土足厳禁。こちらで靴を脱いで入ります。気になる方は裸足ではなくソックス履いての訪問をおすすめします。
トンネルのような入り口は何とも不思議な世界との狭間でもありました。
白い物体の中身は・・・ぜひ現地で体感してください。
ちなみに写真撮影NGです。
穴が開いてますね。
こちらはミュージアムショップ、カフェとなっています。
屋外のフリースペースにはくつろぎ、憩いのための場所が広がり、みんな思い思いに過ごしています。残念ながら、ひとり旅なのではしゃげませんでした。
住所・営業時間
香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
3月〜 10月 10:00 〜 17:00(最終入館16:30)
11月〜 2月 10:00 〜 16:00(最終入館15:30)
休業日 火曜日(3月~10月) 火・水曜日(11月~2月)
ただし祝日は開館、開館日はこちら(公式ホームページ:開館カレンダー)で確認要
アクセス
岡山県側から
宇野港→家浦・唐櫃港(30分前後)
香川県側から
高松港→家浦・唐櫃港(30分前後)
豊島美術館へは唐櫃港が最も近いです。私は家浦港へ着き、シャトルバスで車窓観光しながら豊島美術館へ。美術館からは徒歩で唐櫃港に向かいました。美術館から唐櫃港へは歩いて20分程度かかりますが、高低差も大きく、暑い夏は結構疲れる距離です。
シャトルバスが一番楽ですが、本数は少ないので時刻表をリサーチしておくことをおすすめします。
詳細はこちら(公式ホームページ:アクセス方法)を参照してください。
豊島には他にも、心臓音のアーカイブ、豊島横尾館、トムナフーリなど、見どころ満載ですので、お時間のある方は巡ってみてください。
感想
作品を見に行く場所ではありません。こんな見方があったのか、こんな感じ方があったのか、自分の中の新たな感覚を見つけに、インスタレーションしてみてください。豊島の自然とともに、刻々と姿や音までも変える景色がそこには広がっています。
そして建物の中は意外に天井が低いところがあります。頭をゴーンと打ったのは、私だけではないはず。静寂な空間なので、音が響いて恥ずかしいです。頭上注意。